掲載日: 2022年2月16日
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稲は寒さに強い品種があることは分かりましたが、暑さに強い品種はあるのですか? 地球温暖化に対応できるような品種には、どのようなものが考えられてるのですか?
稲が暑さに強いかどうかというのは、つまり、35℃以上の高温に耐えられるかどうかということで、この性質を「耐暑性」といっています。
これには大きく分けて、
※登熟(とうじゅく)=米が実ること、米が実っていくこと
ふつう「暑さに強いのか」というときは、2の方で、米が実る時期(登熟期)が高温でも収量が落ちないこと、あるいは米の品質が良いということをさしています。
花がさく開花期ごろの高温は、米が実らない「不稔(ふねん)」を引き起こします。しかし、フィリピンで開発された品種には、暑くても不稔が少ないものが見つかっています。
南の地方で気温が高い時に実った米の品質が落ちる原因は、暑さのために、米にでんぷんがうまくきれいに貯まらないことです。きれいに貯まっていかないと、米の一部分が白くなってしまう現象が起こります。
こうした白い部分が出にくい品種も見つかっています。高温でも品質が良いと報告された品種は、コシヒカリ、農林6号、農林22号、越路早生、台湾育成品種群などです。山形県の「はえぬき」も高温でも品質が安定しているという評価があります。
暑くても稲が元気に米を作れる能力があることはとても大事なのですが、稲の耐暑性については、まだまだ解決しなければいけない問題が多く、現在確実に品種改良できる方法はありません。
高温になっても不稔になりにくい品種、米の品質が落ちにくい品種など、さまざまな品種があることは確かなので、暑さに強い品種をつくり出すために努力が続けられています。