掲載日: 2022年2月16日
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バイオテクノロジーという技術にはどんなものがあるのか、また、もう今ではバイオ技術を使って、米の品種改良が進められているんですか?もし使っているのなら、どこでどうやっているのか、また、これからの米との関係を教えてください。
米の品種改良に使われるバイオテクノロジー(バイオ技術)には、
があります。
1の方法で創り出された品種に「ミルキークィーン」というのがあります。国立の研究所で創られたもので、「コシヒカリ」の花がさいたあとに、特別な薬品を使って遺伝子に変化を起こし、米のねばりを強くしたのです。
「ミルキークィーン」は、冷めてもかたくなりにくいので、ふつうに食べるよりも、弁当やおにぎりなどに向く品種です。福島(ふくしま)県・茨城(いばらき)県などでじっさいに平成9年から作られており、その年から東京などで売られています。
遺伝子を変化させるのは、放射線や化学薬品による方法だけではありません。イネのからだの細胞を1個1個バラバラにして、その1個1個の細胞から1人前のイネにもどす方法(細胞培養=さいぼうばいよう)があります。1個の細胞から1人前のイネになるまでの間、遺伝子が変化して、もともとのイネとちがうイネになるのです。
ある会社の研究所では、このやり方で「コシヒカリ」を材料にして、「コシヒカリ」よりも米のねばりを強くする成分が多くなった品種を創り出しました。「夢ごこち」という品種です。「夢ごこち」は、米の味がとても良いことから、長野(ながの)県・千葉(ちば)県・福島(ふくしま)県などで作られています。
2の「やくばいよう」というバイオ技術で創り出されたお米の品種は、私たちの試験場で開発した「里のうた(山形54号)」のほかに下に書いたものがあります。
などなど、「やくばいよう」というバイオ技術で創り出されたお米の品種を数えれば、きりがありません。「やくばいよう」は、かけあわせをした後の、品種改良にかかる年数を短くすることができるため、多くの県で使われています。今のところ一番米の品種改良に役立っているバイオ技術です。
3の「ちがう種類の細胞(さいぼう)どうしを電気ショックを与えたり化学薬品を使ったりしてくっつける方法(細胞融合=さいぼうゆうごう)」では、ふつうはかけあわせができない、日本のイネの細胞と外国のイネの細胞をくっつけて、イネの「くき」が強く倒れにくい、とてもたくさんの米がとれる品種が開発されました。
4病気に強い親と弱い親をかけあわせた子供たちは、見ためでは病気に強い遺伝子を持っているかどうかわかりません。そこで、葉やたねからDNAを取り出し、DNAマーカーをつかってしらべることで判別することができます。
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