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山形県における昨年の水稲直播栽培面積は、2,656haで、そのうちの約7割が、鉄粉をコーティングした種籾を播種する「鉄コーティング直播栽培」となっています。
「鉄コーティング直播栽培」では代かきした水田に播種しますが、種籾が土の中に潜ってしまうと発芽しにくくなるので、圃場の均平に注意し、代かき後に土を落ち着かせた状態で土壌表面に播種することがポイントです。土壌の硬さの目安は、1mの高さからゴルフボールを落として、土中にボールが1cmから半分が埋まる程度です。
種籾は塩水選と種子消毒の後、12℃~15℃の水に4日~5日間漬けてから水を切り、鉄粉をコーティングします。コーティング後は鉄が酸化して発熱するので、発芽率が低下しないよう薄く広げる等、放熱しながら乾燥します。播種前には、種籾の発芽率を確認してから播種しましょう。
直播栽培は苗立ち本数が収穫量に大きく影響します。播種時期や圃場の状態、気象情報等を十分検討して適期に播種し、目標とする1㎡当たり100本以上の苗立ち数をしっかり確保しましょう。
今年も家庭菜園を始める時期を迎えました。家庭菜園の第一歩は畑の土づくりです。今日は、家庭菜園の土づくりのポイントを3つ紹介します。
1つ目は有機物の施用です。堆肥や腐葉土などの有機物を1㎡あたり2~3kgを均一にまき、スコップや鍬でよく混ぜ合わせます。
2つ目は土の酸度調整です。多くの野菜はpH6~6.5の弱酸性が適していますが、畑の土の多くは、pH5~5.5の酸性となっています。このため、苦土石灰などの石灰資材を施用し、pHの調整を行ってから、植え付けを行いましょう。
3つ目は肥料です。家庭菜園のような小面積の畑では、肥料を多くやりがちで、土に肥料成分が必要以上に蓄積している畑が多く見られます。なるべく基肥は少なめにして、生育を見ながら、少しずつ肥料を与えるようにしましょう。
次回の家庭菜園に関する一口メモは、「植え付け時のポイント」について、5月に放送予定です。
りんどうは、冷涼な気候を好む宿根草で、本県を代表する切り花品目です。今日はりんどうの10本仕立て栽培を紹介します。
りんどうは春に1株からたくさんの茎が立ち、草丈が20~30cmの時期に仕立て作業を行います。長くて、段数が多い切り花を収穫できるよう、茎の数を制限します。従来は、一株当たり7本程度に仕立ててきましたが、10本仕立て栽培では、10本に仕立てます。
収穫の仕方にもポイントがあります。通常は、長い切り花にするために地際付近から収穫しますが、りんどうは数年にわたって栽培を続けるため、収穫しない茎を2本残して、翌年に向けた株づくりを行います。これに対して、茎を30cm残して収穫した場合、切り花長は短くなりますが、全ての茎を収穫しても、残った葉が株づくりに十分な光合成を行います。
従来の7本に仕立てて5本収穫する方法に比べて、10本に仕立てて全て収穫する方法は2倍の収量となります。短い商品の割合が増えますが、りんどうは特にお盆やお彼岸に欠かせない花で、花の段数が3段程度で、長さが50~60㎝の短いものも需要があります。需要に応えるため、10本仕立て栽培をぜひご検討ください。
黒星病はりんごの重要病害で、発病した葉から胞子が飛んで健全な葉や果実に次々に感染を繰り返すため、生育期間中は薬剤防除をしっかり行うことが大切です。
展葉期からの防除が重要ですが、特にこれからの「開花直前」、「落花直後」、「落花10日後」、「落花20日後」は生育期間中、最も重要な防除時期です。園地を見回り、生育状況をよく観察し、タイミングを逃さないように薬剤散布を行いましょう。
なお、開花期前後に低温となり、展葉期から開花期までの期間や、開花期から落花期までの期間が例年より長くなる場合は、散布間隔が10日以上開かないよう注意し、場合によっては、追加防除を行うなど臨機応変な防除に努めましょう。
また、薬剤散布にあたっては、十分な薬液量を準備し、散布ムラが無いよう丁寧に散布します。散布予定日に降雨が予想される場合は、計画を前倒しして防除するとともに、散布間隔が開きすぎないように注意しましょう。
さくらんぼの結実は、開花期の天候に大きく影響されます。結実対策をしっかり行い、着果量を確保しましょう。
低温や強風など天候が悪い場合は、マメコバチやミツバチの活動が鈍くなります。毛ばたきによる人工受粉は、5分咲きと満開期の2回、必ず実施します。
また、早期落葉や凍霜害などの影響で、雌しべの枯死が多い園地では、さらに回数を多くし、丁寧に受粉します。満開を過ぎても、枝の下側等には開花の遅い花が多く残っています。枝の下側も丁寧に受粉し、しっかり結実させましょう。
さらに、開花期に乾燥が続く場合は、灌水を行い、湿度を保ちます。実止まりを確保し、果実肥大を促進するためには、開花後にも十分な土壌水分が必要ですので、乾燥が続く場合は積極的に灌水を行いましょう。
今年は山形県でさくらんぼの栽培が始まってから150年の節目の年です。山形のおいしいさくらんぼをしっかり成らせて、全国の消費者のみなさんにお届けしましょう。