ホーム > 農業一口メモ
ここから本文です。
9月は台風が多く発生する時期です。秋の収穫を迎えるに当たり、気象情報に注意し、あらかじめ、強風や大雨の対策を行いましょう。
これから収穫期を迎える「りんご」、「西洋なし」、「かき」などの果樹では、果実の重みと強風で枝折れや果実の落果等の被害が出やすくなるため、支柱の点検・補強を行います。支柱は、地面に垂直になるように手直しを行い、枝がはずれないように、結束しておくことが重要です。
特に、若木やりんごのわい化栽培では、根が浅く、強風で樹が倒れやすいため、支柱にしっかりと結束して被害を防止します。ぶどうの雨よけ施設では、ハウスバンドの締め直しや支柱の点検、被覆資材の修復をしておきましょう。
また、大雨に備えて、園地周囲の排水路や側溝等の点検を行ないます。園地に停滞水が発生し、滞水期間が長くなると葉の黄変や落葉などの生育不良を生じ、ひどい場合は枯死に至ります。さくらんぼは特に湿害に弱いため、園内には明きょを整備して、園地に雨水が溜らないように事前に対策を実施しましょう。
地理的表示保護制度(略称GI保護制度)は、地域で育まれてきた産品を、地域の知的財産として保護する制度です。「山形県『ラ・フランス』振興協議会」は、令和2年にGI「山形ラ・フランス」の登録を受けました。
協議会では、適正な収穫・出荷時期と出荷規格の遵守を呼びかけ、高品質な「ラ・フランス」の出荷を推進してきました。「山形ラ・フランス」がGI保護制度の登録を受けたことで、消費者に対する品質の証明が可能となり、他産地との差別化や輸出の促進が期待されます。
令和9年以降、GI「山形ラ・フランス」に登録されていない、または基準を満たしていない「ラ・フランス」に、「山形ラ・フランス」や、これに類似する表示を行った場合、法律に基づき罰則が科されます。出荷団体だけでなく、個人で出荷する場合も登録が必要ですので、ご注意ください。
GI「山形ラ・フランス」は、「山形県『ラ・フランス』振興協議会」に加盟し、生産行程管理を行うことで表示することができます。入会については、県園芸大国推進課へお問い合わせください。
青刈りトウモロコシは、乳酸発酵させて作る飼料、サイレージの原料となります。このサイレージは、粗飼料と濃厚飼料の両方の特徴を併せ持つ、非常に優れた飼料です。
青刈りトウモロコシで良質なサイレージを作るには、収穫する時期が重要です。収穫の適期は黄熟期で、この時期に栄養価が最も高くなります。
トウモロコシの熟期は、実の硬さや色で判断できますが、「ミルクライン」を観察することで、簡易に登熟程度を判定することができます。
トウモロコシの実は、芯に近い部分が白く、外側が黄色になっており、この白と黄色の境目を「ミルクライン」と呼びます。登熟が進み、「ミルクライン」が実の丁度真ん中に来た時期が黄熟期となるため、その時期を収穫の目安とします。
トウモロコシの茎や葉が青々としている場合でも、実の方は黄熟期に到達していることがありますので、実の登熟具合をきちんと確認して、収穫適期の把握に努めましょう。
例年、青刈りトウモロコシの収穫作業は、9月中旬に最盛期を迎えます。適期に収穫を行い良質な飼料を生産しましょう。
今の経営状況を正確に把握するためには、日々の取引に関する領収書や伝票などを忘れずに保存し、集計することが大切です。
こうした伝票などの整理は、農作業に余裕ができたときにまとめて行おうと思いがちですが、実際はなかなか難しいものです。そこで、「領収書等の整理は毎週月曜日の夜」、「帳簿への記帳やパソコン入力は第一金曜日の夜」など、ご自身のルールを決めて、ためこまないうちに処理するようにしましょう。また、領収書等を紛失してしまった場合は、早めに取引先に再発行を依頼します。自動販売機を利用した際など、領収書等が発行されない場合には、自分で出金伝票を準備して、いつ・だれに・いくら支払ったかを記録しておきましょう。
こうした日々の積み重ねは、より正確な簿記記帳と決算書の作成につながり、さらには、将来の経営改善の基本となります。ご自身だけでは難しい場合には、家族内で相談し分担を決めながら、取り組んでみましょう。
山形県農業総合研究センター土地利用型作物部では、水稲や大豆の生育状況をこまめに調査・解析し、県内に情報提供しています。この調査は、「農作物作柄診断解析調査」といい、長年に渡って実施しています。その時々の生育状況や気象の変化に応じた最適な対応策を決定するためにも重要な調査です。
近年、高温や大雨などの異常気象が頻発し、農作物の生育に及ぼす影響が大きくなっています。農作物の収量や品質の安定化を図るためには、気象や生育状況を正確に把握し、対応技術を速やかに実施することが重要です。
令和5年は夏の異常高温のため、米の一等米比率が大きく低下しました。そこで土地利用型作物部では、作柄診断解析調査のデータを使い、高温が米の登熟にどのように影響したのかを解析しました。そして、適正な生育量の確保や水管理の重要性を明らかにしたほか、今後の異常気象に備え、高温対策技術の確立に取り組んでいます。
今後も、作柄の安定や高品質生産に向けて継続的な調査と新たな技術開発を行い、皆さんに役立つ情報をお届けできるよう取り組んでまいります。