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今日は、先日採り上げたカイガラムシ類防除と並んで重要な春作業である、施肥や病害防除についてご紹介します。
「啓翁桜」を早くから導入した産地では、老木化が進み、樹勢が弱くなっている園地も見受けられます。枝が伸び始める前に施肥を行い、樹勢の確保と枝の再生に努めるようにします。施肥量は、10a当たり窒素成分で5~10kgを目安とします。樹勢が弱い園地では、多めの10kgを施用する等、樹勢や地力に応じて加減するようにしましょう。
また、「啓翁桜」の重要病害の一つに幼果菌核病があります。幼果菌核病は、開花始期から満開にかけての時期が、最も感染しやすく、また、最も薬剤散布の効果が高い時期になります。「啓翁桜」の開花時期は年によって変わりますので、適期に防除できるよう、蕾の生育状況をよく観察して防除しましょう。
詳しい防除方法や、使用する薬剤については、最寄りの農業技術普及課にお問い合わせください。
「低温アラート」は凍霜害対策支援ツールで、本サイトの会員サービスの一つです。
これは、県内各地の約50地点に設置されている気象センサーと連携し、観測した気温データを低温のアラート情報としてメールでお知らせするもので、毎年4月1日から5月中旬にかけてご利用いただけます。
本サイトの会員は、トップページ下部の「農作業アラート」から、この「低温アラート」を利用することができます。
使い方は、気象センサーの観測地点を選択し、アラートメールを受け取る温度を設定するだけで、選択した観測地点の温度が設定した温度を下回ると、それをお知らせするメールを受け取ることができます。
本サイトは、県内在住の農業者または農業関係者の方であれば、どなたでも無料で会員になることができます。会員登録後は、ぜひ「低温アラート」に登録いただき、さくらんぼやりんごなどの凍霜害対策にご活用ください。
牧草地は利用形態の違いから、採草利用と放牧利用に区別され、その管理方法も異なります。
採草利用では、収量を確保することが重要です。牧草は、春に「スプリングフラッシュ」と呼ばれる急激な生育を示しますが、採草利用の場合は、この性質を利用し、年間の収量が最大となるように融雪後速やかに施肥を行います。具体的には、三回刈りの場合、早春に年間施肥量の50%を、一番草の刈取り後に30%、二番草の刈取り後に残りの20%を施用します。
一方、放牧利用では、放牧期間を通して安定した草量が確保できるように管理する必要があります。具体的には、牧草地の一部を採草利用することで、生育が一定になるようにコントロールしましょう。そして、施肥する場合は、春の急激な生育を抑えるため、早春に年間施肥量の20%を、6月下旬に40%、8月下旬に残りの40%を施用します。なお、放牧開始が遅くなる場合は、6月上旬と8月下旬に50%ずつ施用しましょう。
また、苦土石灰などの土壌改良資材は、ミネラルバランスを考慮し、早春もしくは晩秋に施用するなど、牧草地の利用目的に応じて、適切に管理しましょう。
近年は、春先の気温の変動が大きく、年によって生育が大幅に早まったり、逆に大幅に遅れたりと、計画的な作業が難しくなる場合があります。剪定作業は計画的に進め、摘芽や休眠期防除等の春作業に支障が出ないように心がけましょう。
果樹は、春に芽が動き出すと、低温に対する耐性が弱くなるため、凍霜害の発生が心配されます。令和3年は強い降霜が4回あり、これまでに例のない甚大な被害となりました。今年も、油断することなく、徹底した防霜対策が必要です。
特に、春先に気温が高く経過して、生育が進んでいる場合は注意が必要です。さくらんぼでは発芽10日後頃から危険な生育ステージになりますので、今後、生育が早まっても対応できるよう、防霜資材を早めに準備し、万全な態勢をとっておきましょう。
また、開花期の風の影響で、さくらんぼの結実が悪くなる場合も多いので、防風ネット等の資材も今のうちから準備しておきましょう。
いよいよ今年の稲作作業が始まります。「苗半作」と言われるように、充実の良い種籾を使用して、健康でがっちりした苗を育てることが「おいしい米づくり」の第一歩です。
まず、充実の良い種籾を選ぶために、塩水選を行います。うるち品種は比重1.13の塩水で、もち品種は比重1.08で選別します。選別した種籾は水洗いし、水を切ってから種子消毒を行います。
次に、種籾の水漬けを行います。水漬けは発芽に必要な水分を十分に吸収させ、発芽を揃えるねらいがあります。ポイントは、網袋に十分な余裕を持って種籾を入れ、水温10~15℃の水に漬けることです。水温は高すぎても低すぎても発芽の揃いに影響するので、適切な水温で、水漬けの積算温度の目安となる120℃をしっかり確保します。また、必要に応じて水交換を行い、時々網袋を上下に軽くゆすり、種籾に吸水むらが出ないようにします。作業スケジュールは、田植えの予定日から逆算して計画し、適正な育苗期間で健苗を育成しましょう。