掲載日: 2022年2月16日
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化学肥料は、イネをだめにしてしまうんですか?
イネがだめになるのではなくて、化学肥料のやりすぎは、環境をよごしてしまうのです。農業で生産のために使ったお金のうち、一番多く使って、収量を増やすことができたのは、肥料代と農薬代です。収量が増えたことで、たくさんの人に食料をとどけることができました。そういう意味では、肥料と農薬に感謝しなければなりません。
しかし、あまりにも短い期間に、収量を上げて、もうけようとしたため、田や畑から栄養分を取りすぎてしまっているのに、世界の人々は気づきました。
田んぼの中の栄養分が増える量は、
(田んぼに入れた肥料の量)から
(イネにすわれて、お米になって田んぼから出ていく栄養分の量)を
ひけば、計算できます。
そこで、
1.今、田んぼの土に、土がたくわえておける量の半分の栄養分があるとします。たとえていえば、もともと、田んぼの土のおなかに半分だけ栄養分が入っていたとします。
そして、
2.田んぼに入れる肥料がぜんぜんなかったなら、お米になって田んぼから出ていく分だけがどんどん減ってしまいます。これが何年も続くと田んぼの栄養分がなくなり、ついにはお米作りを続けることができなくなってしまいます。
3.田んぼに肥料を入れたとしても、田んぼに入れる肥料の量が、お米になって田んぼから出ていく量より少ない場合も、田んぼの栄養分は減ってしまい、ついにはお米作りを続けることができなくなってしまいます。
上の2と3は、おもに発展途上国で見られます。
食事をぜんぜん食べなかったり(2の場合)、少ししか食べない(3の場合)なら、おなかがすいて、動くことも、体が大きくなることもできませんね。これと同じことです。
この2や3とは逆に、
4.上の1に、「今、土に、たくわえておける栄養分が半分あったとします」「もともと、田んぼの土のおなかに半分だけ栄養分が入っていたとします。」と書きました。もし、田んぼに入れる肥料の量が、田んぼの土が食べられるのこりの半分の量よりも多かったら、田んぼの土は、満腹で、もうおなかに入りませんから、田んぼの外にたれ流しとなって肥料の成分が環境をよごしてしまいます、例えば、地下水の汚染をひき起こします。
この4番がヨーロッパや日本などにあてはまります。
では、どうすればよいのでしょうか?
5.田んぼに入れる量と、お米になって出ていく量とを同じ量にするか、または、お米になって出ていく方が、少し多いくらいの肥料の量にして、田んぼの土が食べることができる、のこりの半分の量におさまるようにすれば、田んぼがお米を作る力を落とさずに、米作りを続けることができます。
今は、こうした考え方が、広まってきました。肥料の入れすぎは、結局は、肥料を買うお金をムダにして、農家の経営を苦しくするだけでなく、環境をよごしてしまいます。ですから、できるだけ少ない量で、今までと変わらない収量をあげる研究を今でも進めています。
化学肥料は、これまでに大変役立ってきました。これからは、使い方を考えて、環境にやさしい農業、地球にやさしい農業を、農家の人みんなが実行していかなくてはならないのです。