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ホーム > 作物別情報 > 水稲 > 米づくりQ&A > 米作りをするのに、肥料は「工夫」していますか? イネに対する肥料の「工夫」について教えてください。

掲載日: 2022年2月16日

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質問

米作りをするのに、肥料は「工夫」していますか?イネに対する肥料の「工夫」について教えてください。

答え

まず、イネが育つのに必要な、おもな栄養分の役割を書いてみます。

(1)チッソ

  1. 葉や「くき」や根の発育やのび方を良くし、葉の緑色をこくする。
  2. 栄養分をどんどんすうようにしたり、光合成(こうごうせい=光を利用して、水と二酸化炭素から炭水化物を作る作用)をさかんにします。

(2)リンサン

  1. 根ののび方を良くし、芽が出たり、「くき」が増えるのを助ける。
  2. 花がしっかりとさくように助けてくれる。お米が早くきれいに実るように助けてくれる。

(3)カリウム

  1. 炭水化物を作るのを助け、できた炭水化物がイネのからだの中を移動して、お米にたまるのを助けてくれる。
  2. 根や「くき」を強くしてくれる。

(4)ケイサン

  1. 「くき」や葉をじょうぶにしてくれる。おかげで「病原きん」がからだの中に入りにくくなり、病気にかかりにくくなる。
  2. イネから出ていく水分の量をうまく調節してくれる。

それでは、肥料の工夫その1です。

(1)元気なイネを育てるために、イネが必要な成分の入った肥料を、必要な時期に田んぼにまきます。

1.基肥(もとごえ)・・・春に田んぼを起こしたら、まきます。イネが育つ前半の生育を助けます。
与える成分・・・チッソ、リンサン、カリウム

2.穂肥(ほごえ)・・・「いなほ」が出て花がさく日の、20から25日前にまきます。「いなほ」を元気にします。
与える成分・・・チッソ、カリウム

次に、肥料の工夫その2。

(2)おいしいお米を作るために、品種や田んぼの土の性質に合わせて、肥料の量や、まく時期を変えています。

コシヒカリは、はえぬきより少なめにします。また、土の性質でもともと元気がない田んぼには、肥料は多めに入れます。

さらに、肥料の工夫その3。

(3)肥料のやり方

人間でも、身長・体重や体温・血圧をはかって健康状態をチェックするように、イネでも、元気かどうか、健康に育っているかどうかをなどを調べてから肥料をやっています。

1.イネが元気かどうか。
葉の色でわかります。(緑色→元気、黄色→元気がない。)

2.からだの大きさ。
たけの長さと「くき」の数。(たけが長く、「くき」が多いと、イネのからだが大きいことになり、肥料はあまりやれません。)

3.イネのステージの確認。
イネは、葉を出し、「いなほ」を作ります。1つ1つのステージをクリアしていくように、時間をかけて大きくなっていきます。
(何番めの葉が出てきたか、「いなほ」の長さは何センチになったか。)

最後に、肥料の工夫その4。

(4)田んぼの土を改良する肥料について

イネが育つ時、肥料で与えた成分よりも、もともと土がもっている栄養分のほうを多くすいます。

  • チッソ・カリウム・ケイサン・・・肥料から10分の3、田んぼの土から10分の7
  • リンサン・・・肥料から10分の2、田んぼの土から10分の8

そこで、土を豊かにするために、土の改良用の肥料をやったり、「たい肥」などを田んぼに入れて、土の改良をしています。はじめの「土の改良用の肥料」の成分は、ケイサン・リンサンです。「たい肥」の役割は、次のようなことです。

  1. 「び生物」が増えて、土が肥えて(こえて)いきます。
  2. やわらかい土になります。
  3. 環境の変化からイネを守ります。
  4. リンサン肥料をききやすくします。