掲載日: 2022年2月16日
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「はえぬき」という名前は誰がどういう意味でつけたのですか?
平成3年に、新品種がデビューするというので、名前を全国から募集するキャンペーンをしました。それは、「よい名前」を募集するだけでなく、「山形からおいしい米の品種が出る」ということを全国にアピールすることもねらっていました。
そして、全国から11万1,142点の作品が寄せられ、代表的なものとして、「とっておき」「よりすぐり」「ゆめごこち」「ゆき鏡」「大金星」「たらふく」「はなまる」「つきあかり」「ヤッショ」「おみごと」「よござんす」「たいこばん」などが最終選考に残ったのです。
山形県では何人かの先生を選び、名前を決める委員会を開きました。その中で「えりぬき」が選ばれて、これを少し変えて「はえぬき」と決まりました。「はえぬき」とは、その土地で生まれて、その土地で成長するという意味で、豊かな自然の中で生まれ育ったオリジナルの米が大きく成長し続けるようにという願いが込められているのです。
実は、「えりぬき」という名前を考えて、応募した人は、なんと偶然にも、当時の庄内支場の総務課長さんでした。ちょっと昔をふりかえってお話を聞いてみました。
私が、試験場に赴任した2年目に命名の時にぶつかりました。試験研究そのものがどういうものなのか全然わからなかったわけですが、ただ、みなさんが一生懸命にやっている姿から、試験研究はスパンが長いものだと言うことがものすごく分かりました。
品種を選ぶそのものもそうですが、いわゆる1年や2年では簡単に出来ない、そういうものを乗り超えてやってきた姿を見まして、「えりぬき」という、いわゆる「選抜する」「いいものを選んでいく」と言う意味で応募したわけです。名前そのものは、研究する人の気持ちをあそこに表したい、それだけだったわけです。
ネーミングの発表の時に、ご飯党党首の嵐山光三郎さんがお見えになっていまして、ものすごくおいしいご飯でしたと言っていました。
ネーミングについては、親戚からも「やー、珍しい名前だなー。なんであんな名前」って言われました。私も、それに一生懸命に、お話するのですけれども、なかなか分かってもらえませんでした。
これからも、研究スパンが長いと言うことを肝に銘じて、やって行くことが宿命ではないかと思います。(談)当時、農業試験場庄内支場総務課長 山本三郎