掲載日: 2002年10月26日
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県内で栽培されているオーチャードグラスなどの牧草は寒地型牧草に属しており、気温5℃前後から生育を開始し、生育適温範囲は15~20℃程度となっている。
牧草の気象災害としては、大きく夏枯れと冬枯れに大別されるが、夏場に高温の続く本県では「夏枯れ」が主な気象災害となる。
牧草の夏枯れは、高温による呼吸量の増加、葉の老化、根・匍匐茎への同化産物の分配の低下などにより起こり、22℃以上の期間が長く続くと生育が衰え、甚だしい場合は生育が停滞し休眠状態になる。
対策としては、耐暑性を加味した品種選定のほか、播種前に完熟堆肥等の有機物を充分施し土壌保水力を高めておくことなどが重要となる。
また、梅雨期から盛夏には極端な低刈りや過放牧を避け、適当な利用間隔をおいて貯蔵養分の消耗を軽減する。
施肥管理は、窒素の多用を避けるとともに、リン酸を十分に施用するほか石灰や苦土も補給し、株・根などの健全な生育を促す。
とうもろこしはC4型植物で高い同化能力と強い吸肥力を持ち、生育適温も日平均気温で22~30℃と範囲が広い特徴がある。
とうもろこしの主な気象災害としては、霜害、冷害、干魃害、湿害、風害があるが、それぞれの災害に対する対策として共通することは、地域の気象条件や栽培期間、耐倒伏性等を考慮した品種選定、適期播種、適正栽植密度の確保、完熟堆肥等の施用による土づくりと適切な施肥管理、及び雑草防除など基本技術を厳守し、初期生育を促進して強健な個体を育てることが重要となる。
なお、以上の直接的な気象災害のほかに、気象要因が誘因となって各種の病虫害発生や要素欠乏が生じる場合が多く、これらも考慮した総合的な診断と対応が必要となる。
霜害には晩霜害と初霜害がある。晩霜害は覆土が3cmほどであれば、3葉期の地上部全体が霜害を受ても収量・品質に及ぼす影響はまずない。覆土が充分であれば、この時期の苗の生長点は地下部にあるため、充分に発達した根と地下部の残存部の活動によって葉を展開できるからである。しかし、5~6葉期以降では被害をみることがある。
初霜害は茎葉を枯死させて同化と養分転流を停止させる。収量・品質に及ぼす影響は降霜時期が早いほど、また強霜ほど大きい。被害の著しい場合には、TDN含量、ミネラル、ビタミンなどの飼料価値の低下や給与時の二次発酵につながるので、降霜時の刈り取り期決定は総合的な判断が必要である。
とうもろこしは、生育適温度が日平均気温で22~30℃で、この温度以下では生育が遅延し10℃以下では生育が停止する。生育前半の影響では、桿長、草丈はほとんど変わらないが、茎が細くなって徒長ぎみの性状を呈し、倒伏しやすい傾向を示す。
また、登塾期の生育後期への影響では、桿の形状はほとんど変わらないが、茎の含水量が多くなり、子実の登塾は遅れる。なた、低温が長期になると個体全体が矮小化する。
対策としては、地域の気象条件、栽培期間にあった品種の選定と適期は種、適正栽植密度の確保に努め、完熟堆肥を施用するとともにリン酸を多めに施し、初期生育を促進し強健な個体を育てることである。
とうもろこしの風害としては、倒伏や折損、葉ずれによる損傷、不稔障害等である。
倒伏には、挫折型、転び型、湾曲型の3つの型があり、それぞれ要因が異なる。とうもろこしは、倒伏により飼料成分、嗜好性が低下し、ハーベスターによる収穫ロスも大きくなる。
対策としては、耐倒伏性品種の選定し、できるだけ早播きするとともに過密植にならないよう適正な栽植密度を保つことが重要である。
とうもろこしは湿害に非常に弱く、根の働きや葉の蒸散作用を弱め、黄化、下葉の枯れ上がり、苦土・カリ・リン酸・窒素欠乏の症状を呈する。また、草丈の伸長も緩慢となり、絹糸抽出期や出穂期が遅れ、生育が抑制される。
対策としては、転換畑や水害が予想される場合は、できるだけ深く排水溝を掘り排水路を整備し、排水に万全を期す。事後対策としては、引水後は、早勢回復のため窒素4~5kg追肥する。
被害の状況は生育時期によって異なり、幼穂分化・形成期では雌穂が矮化し、開花期では受粉、受精に障害を起こす。又、登熟期では雌穂先端の不稔部分が多くなる。
防止対策としては、完熟堆肥等の有機物の施用により土壌の保水力を高める。また、雑草との養水分の競合を避けるため、播種直後の雑草防除の徹底を図る。事後対策としては、軽く中耕し、水分の蒸散を抑制するほか、小規模で灌水可能な場合は灌水と同時に追肥をすると効果が大きい。
飼料作物の気象災害とその対策(PDF:12KB)
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