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農業一口メモ

2025年7月10日 高温期における切り花出荷の注意点

大きな需要期である8月のお盆に向け、切り花の出荷量が増える時期を迎えます。この時期は、1年で最も気温が高いため、切り花の品質保持には、細心の注意が必要です。今日は切り花品質保持のポイントを四つ御紹介します。
一つ目は「切り前の遵守」です。気温が高い環境では、開花の進みが早くなりますので、圃場では開花程度をよく観察し、適切な切り前で収穫しましょう。
二つ目は「涼しい時間帯での収穫」です。暑い時間帯に収穫すると、萎れやすくなるため、収穫は暑い日中を避け、涼しい朝や夕方に行いましょう。
三つ目は「収穫後の速やかな吸水」です。収穫した切り花は、なるべく早く、生け水が入ったバケツに入れて吸水させ、風通しが良く涼しい場所に運びます。生け水には、花の種類に合った「品質保持剤」を使用することで、品質保持効果が高まります。
四つ目は「清潔な環境で花を扱うこと」です。夏は気温が高く、細菌が繁殖しやすい時期です。切り花の生け水は清潔な水を用い、バケツも一度使ったら丁寧に洗浄します。
これから最も暑い時期を迎えます。熱中症にも気を付けながら、日持ちの良い花を出荷していきましょう。

2025年7月9日 さくらんぼの双子果対策

今年のさくらんぼは、双子果の発生が例年よりも多い状況でした。
双子果は、花芽が形成される7月中旬~9月上旬の高温の影響で、翌年の発生が助長されます。
また、品種別では「紅秀峰」で発生が多い傾向であり、樹勢が弱い樹、明る過ぎる園地で発生が多く見られます。
双子果の発生を軽減するためには、花芽が極端な高温にならないようにすることが重要です。
花芽の温度を下げるためには、雨よけ被覆部分などへの遮光資材の展張が最も有効です。資材は、遮光率が45%程度のものが適しています。
加えて、適正な樹勢を維持するために、収穫直後に年間施肥量の5割~10割を目標に礼肥を施用します。肥料は水分がないと吸収されにくいため、施肥後に灌水することも重要です。また、健全な葉を維持するために、病害虫防除を徹底しましょう。さらに、高温時の夏季剪定は、双子果の発生を助長する可能性があるため、気温が下がってくる9月上旬以降に実施しましょう。
今年の夏も高温の予報となっています。来年の高品質・安定生産に向けて、対策を徹底しましょう。

2025年7月8日 さくらんぼの褐色せん孔病の防除対策

近年、県内各地でさくらんぼの褐色せん孔病の発生が多くなっています。この病気は、6月上旬頃から発生し、葉に円形の病斑がみられるようになり、7月上旬の雨よけ除去から短期間に増加します。多発すると、葉が黄色くなって落葉し、昨年は、9月中に落葉した園地が多くみられました。感染は、秋季まで続くため、8月上旬までの発病を低く抑えることがとても重要です。
薬剤防除のポイントは次の二つです。
一つ目は、収穫終了後、すぐに薬剤散布を行うことです。葉が黄色くなり、多数の病斑がみられてからでは、この病気を抑えることはできません。収穫直後からしっかり薬剤散布を行って、発病を増加させないことがとても重要です。
二つ目は、薬剤散布の間隔をあけないことです。薬剤散布は、昨年や今年のように収穫が早く終わっても、予定した防除を省くことなく、実施しましょう。また、雨が続く場合は、散布間隔を短くしたり、雨の合間をみて散布したりすることで病気の感染拡大を防止します。
さくらんぼの花芽は、6月頃からつくり始められるため、収穫終了後も褐色せん孔病対策を徹底し、来年に向け、充実した花芽をつくり、樹体に十分な養分蓄積を図りましょう。

2025年7月7日 ぶどう「シャインマスカット」の房づくり

消費者から人気が高いぶどう「シャインマスカット」は、1房あたりの重さが600~800gで、着粒数が40~50粒、一粒の大きさが15g以上を目標に房づくりをします。
果粒の肥大が良い房に仕上げるためには、できるだけ早く摘粒を行うことが重要です。摘粒は、一般的には二回目のジベレリン処理時期頃から始め、概ね2週間以内には終えるようにします。
 摘粒を始める前に軸の長さを揃えると、収穫時の房の大きさが揃いやすいため、軸の長さは、8~10cmを目安に調整します。長過ぎる場合は、そのまま摘粒すると大房になってしまうため、上部の支梗を切り落とします。
摘粒を行う際は、上段は4、5粒、中段は2、3粒、下段は2粒程度にすると、房の形が整いやすくなります。
また、果粒の肥大を促進するため、二回目のジベレリン処理時期頃から、随時、摘心を行うとともに、8月中旬頃まではしっかりと灌水を行い、土壌水分を保ちます。なお、水回り期頃の摘心は、縮果症の発生を助長するため、7月下旬の実施は控えましょう。

2025年7月4日 「つや姫」の生育診断に基づく穂肥の実施

今日は、水稲「つや姫」の、生育診断と穂肥の実施についてのポイントを紹介します。
まず、適正な籾数(もみすう)となるよう生育を制御することが大切です。このため、籾数の目安を、1㎡当たり31,000粒程度とし、7月10日頃の生育診断で、生育量に応じた穂肥を実施しましょう。
1㎡当たりの茎の数が600本以下で、葉緑素計で測定した葉色が39未満の場合の穂肥の量の目安は、基本どおりに出穂30日~25日前に10a当たり窒素成分で1.5kg施用します。同様に茎の数が600~650本とやや過剰な場合や、葉色が39~41とやや濃い場合は、減肥して、窒素成分で1kgを施用します。茎数が650本以上、または葉色が41を超えているような過剰な生育の場合は、出穂25日前までに適正葉色の36~37に低下したことを確認して、窒素成分で1kgを施用します。もし、葉色が低下しない場合は穂肥を控えます。
最高な品質でおいしい「つや姫」を生産するために、しっかり生育診断を行い、適期に適正な穂肥を行うことがとても重要です。