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農業一口メモ

2025年9月10日 果樹園の施肥

 果樹の品質や収量を上げるためには、今年のうちに樹に貯蔵養分を十分蓄えるよう施肥を行って、来年の春先の生育を良くすることが重要です。
 そのため、果樹の基肥は、根が活動している9月中に施用し、肥料成分を吸収させるようにします。
 特に、さくらんぼは発芽から収穫までの期間が短く、貯蔵養分の量が少ないと初期生育が劣るので、適期に施肥し、しっかりと肥料を効かせることが重要です。今年は、礼肥の後の雨が極端に少なく、肥料が樹体に吸収されにくかったため、樹勢が弱い樹では前年よりも多めに施肥し、しっかり灌水を行いましょう。
 なお、有機質主体の肥料を用いる場合は、化成肥料と比べて、根が肥料成分を吸収するまで時間がかかるため、2週間程度早めに施用します。
 肥料は、園地全体に均一に散布するのではなく、基準となる施肥量に、植え付け本数や樹勢、着果量などを考慮して、樹1本ずつ加減しながら施用することが重要です。
 また、事前に堆肥を施用した場合は、堆肥由来の肥料成分量を考慮し、施肥量を調整しましょう。

2025年9月9日 夏秋トマトの栽培管理

 大玉トマトやミニトマトは、収穫ピークを過ぎ、徐々に草勢が回復し始める時期となっています。今年の夏は高温で経過したため、成長点付近の萎れや落花等が見られました。これからの管理は、草勢の維持と病気や裂果の抑制に重点を置き、秋の需要期の収量を確保しましょう。
 まず、草勢維持のためには、適正な灌水と追肥がポイントになります。灌水・追肥ともに9月上旬までは8月と同様に行い、9月中旬頃から徐々に減らすようにします。減らす時期が早すぎたり、極端に量を減らすと、果実が小さくなるので注意しましょう。
 次に、病気と裂果の抑制には、ハウス内の湿度を低く抑える管理と、果実の結露を抑える管理を行います。日中は積極的に換気を行って施設内の湿度を下げるようにしましょう。夜間にハウスサイドを閉めて保温すると、気温の低下に伴い、湿度が高まり易くなるので、夜間も循環扇などを使ってハウス内の空気を動かしましょう。また、果実の結露は、朝日によってハウス内の温度が急に上昇して、果実との温度差が大きくなることで発生します。果実の結露を抑えるため、朝は早めの換気を心がけましょう。

2025年9月8日 りんご中生品種の着色管理

 りんごの着色管理作業は、最初に支柱の手直しや追加、枝つりを行い、大枝同士の間隔を十分に空けるようにします。次に、幹回りや枝の分岐部等を中心に、不要な徒長枝を切ります。
 葉摘みは、果実の陽光面が着色し始める、収穫予定の20日前頃から行います。早い時期に葉を摘み過ぎると、糖度不足や肥大不良の他、鮮明な色に仕上がらなくなるなど、品質低下につながるので注意が必要です。そのため、最初の葉摘みは、果実に接触している葉や覆い被さっている葉を摘む程度にします。
玉回しは葉摘みの後、陽光面が十分に着色してから行い、収穫予定の7日前頃までに終わらせます。玉回しと併せて、仕上げの葉摘みも行いましょう。
 りんごの着色は15℃~20℃程度の気温で促進されます。高温時には、過度な葉摘みをしても着色は進みません。暑い日が続き、日焼け果の発生が心配される場合は、徒長枝の切り取りや、樹の上部と南側の葉摘みを控えます。また、少雨が続いている場合は、20~30mm程度の灌水を行い、土壌水分をしっかりと確保しましょう。

2025年9月5日 もも収穫後のせん孔細菌病対策

 ももは中生種の収穫がほぼ終わり、晩生種の収穫時期を迎えています。
 近年、ももの病気で増加しているのが、せん孔細菌病です。この病気は収穫後の9月以降の秋季の防除がとても重要です。来年の栽培に向けて秋期防除を徹底し、越冬伝染源となる園地内の病原菌密度をしっかりと下げましょう。
 具体的には、収穫後にボルドー剤などの無機銅剤を2週間おきに二回から三回散布します。一回目の散布は、収穫後できるだけ早く実施しましょう。また、晩生の品種がある場合には、収穫が終了した樹から防除を行いましょう。なお、使用する薬剤によっては薬害の恐れがあるので、炭酸カルシウム剤を加用します。また、台風の通過等の影響で早期に落葉すると、落葉部位からの感染が多くなります。そのため、薬剤散布は台風の通過や降雨の前に行いましょう。
 さらに、耕種的な対策として、風当たりの強い園地では防風ネットを設置します。また、樹勢が弱いと発生が多くなるので、適正な樹勢の維持に努めましょう。
 せん孔細菌病は、薬剤だけで防除するのが非常に難しい病気です。春先に行う発病枝の切除など耕種的な手法も組み合わせ、総合的な対策を徹底しましょう。

2025年9月4日 「つや姫」の高品質・良食味米生産

 全国のトップブランド米「つや姫」について、高品質・良食味米に仕上げるためのポイントを紹介します。
 出穂期から30日程度は、玄米の肥大が盛んな時期なので、間断かん水などで圃場の土壌水分を切らさずに管理することが大切です。「つや姫」の落水時期の目安は9月上旬頃です。早すぎる落水は、品質や食味の低下につながるので避けましょう。
 刈取り時期は、出穂後の日平均気温の積算値を目安に、青籾の割合や枝梗の枯れ具合、籾水分などで判断します。刈り遅れると胴割れ粒が増加して品質低下につながりますので、適期内の刈取りがとても重要です。
 県が新たなデジタル技術として実証している営農支援システム「アグリルック」では、インターネットを通じて、「つや姫」の「刈取適期マップ」や、「作業適期予測カレンダー」等の情報を得ることができます。利用方法については、最寄りの農業技術普及課までお問い合わせください。
 収穫した籾は、急激な乾燥や過乾燥を避け、適切な温度でゆっくり乾燥しましょう。籾摺り機は事前に試運転を行って胴割粒やくだけ米が発生しないように調整し、高品質、良食味の「つや姫」に仕上げましょう。