ホーム > 農業一口メモ
ここから本文です。
今年も残りわずかとなりました。来年の安定した農業経営に向けて、今年の生産状況や収益、労働力の確保などについて課題を整理し、次の一手を考える時期です。
今年も、春先の低温や夏場の高温・少雨など、気象の変動が大きな1年となりました。病害虫の発生傾向や防除の効果、栽培管理の見直しなどを通じて、気象変動への対応力を高めることが求められています。これまでの経験を踏まえ、地域の気候特性に合わせた対策や省力化技術の活用を検討しましょう。
また、資材価格や燃料費の高止まりが続く中で、生産コストの削減や付加価値の高い販売方法の工夫が重要です。直販や加工、観光との連携など、地域資源を活かした多角的な経営の取り組みも視野に入れてみましょう。万一の災害や価格変動に備え、収入保険や農業共済への加入も引き続き検討してください。
労働力確保については、作業ピークを再確認し、年間を通した計画的な営農体制を整えましょう。人手を確保するために、作業の見える化や1日農業バイトアプリ「デイワーク」を活用したマッチングなど、新たな取組が進んでいます。効率的で持続可能な経営につなげていくことが大切です。
皆さんの努力が実を結び、2026年が豊かで希望に満ちた1年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
今年も、気象の変動が大きく、病害虫の防除が難しい年となりました。冬のこの時期は、来年の防除計画を考える良い機会です。来年の防除をより効果的に実施するため、今年の病害虫の発生状況を振り返ってみましょう。
水稲では、6月からの高温で斑点米カメムシ類の発生が多くなり、注意報が2回発表されました。追加の防除や除草対策等が必要な場合に、地域で一斉に、遅れずに対応できるような体制を日頃から整えておきましょう。
また、県内の果樹産地では、今年もおうとうの褐色せん孔病の発生が目立つ園地がありました。今年発生が見られたところでは、収穫後の防除を含め、薬剤の散布間隔が開きすぎていなかったか、散布薬量は十分であったか、降雨前に予防的な薬剤散布ができていたか確認しましょう。さらに、枝葉が混み過ぎていたり防除機械が通れない場所があったりして薬剤の散布ムラがなかったか点検して対策を検討しましょう。
このほか、みなさんが栽培した農作物では、病害虫発生に対する防除対応、被害状況はいかがだったでしょうか。今年の状況をしっかりと振り返り、来年の防除計画の作成に生かしましょう。
東北農林専門職大学キャリアサポート・研修センターでは、県内で新たに農業を始めたい方を対象とした令和8年度新規就農支援研修生を募集しています。
この研修は、就農に必要な実践技術と基礎的知識を習得するために、県の試験研究機関や先進農業経営者の下で学ぶ農業実習と、当センターで基礎知識を学ぶ集合研修を組み合わせて行います。研修期間は令和8年4月から令和9年3月までの1年間で、研修内容はトラクターの運転技術や農業機械のメンテナンスも含め、スムーズな就農に役立つ幅広いメニューとしています。
受講は無料ですが、事前の申込みが必要です。申込みの締め切りは、県の試験研究機関での農業実習を希望される場合は、1月23日(金曜日)まで、先進農業経営者のもとでの農業実習を希望される場合は、2月27日(金曜日)までとなります。研修の詳しい内容を事前に説明しますので、早めに当センターにご相談ください。
詳しくは、東北農林専門職大学キャリアサポート・研修センターのホームページをご覧いただくか、電話0233(22)8794までお問い合せください。
県内では、水田転作の基幹作物として、大豆やそばが多く作付けされています。しかし、全国に比べて、収量や品質の年次変動が大きく、実需者からは、高品質な大豆やそばを毎年安定的に供給してほしいと強く要望されています。来年の作付けに備え、基本技術をもう一度確認しましょう。
雨が降ると滞水しやすく、出芽不良になる圃場では、播種前にサブソイラー施工などによる補助暗きょや、溝掘機による明きょの施工で排水対策を徹底することが重要です。出芽、苗立ちがそろって、初期の生育が改善します。
また、安定生産の土台となるのが土づくりです。特に大豆栽培では、土壌のpHを適正にすることが重要ですが、石灰の施用を省略したことでpHの低下した圃場が、多く見られています。圃場のpHを確認し、6より低い場合は石灰を施用して、6~6.5になるよう矯正しましょう。また、有機物の施用、深耕や田畑輪換なども有効です。是非、来年の計画に組み入れましょう。
これらの取組みを確実に行い、実需者のニーズを満たす高品質な大豆、そばの安定生産を図りましょう。
啓翁桜は、一足早く春を感じられる花として冬の間多くの方に楽しまれています。一方、桜の開花予想がニュースになる3月も、卒業式や送別会等のイベントに使われ、高い需要があります。しかし、3月に出荷するためには、促成を開始するのが2月以降となるため、促成の直前に枝を切って収穫する場合、雪による枝折れや、鳥による花芽の食害が問題となります。そこで今回は、その対策として、根雪前に収穫した切り枝を最長で80日間貯蔵できる、切り枝の長期貯蔵方法を紹介します。
長期貯蔵には、花芽や枝ぶりが充実した長い切り枝を選びます。枝を出荷規格より20㎝以上長く調整しておき、貯蔵スペースが小さくなるように結束して、貯蔵場所に運びます。
貯蔵場所は、室温が3℃程度で、湿度を高く維持できる低温室が理想です。貯蔵中に切り枝が乾燥するのを防ぐために、風が枝に直接当たらないようにします。また、降雪が早く、積雪量が多い地域では、枝を雪に埋めることで長期貯蔵が可能となります。この場合、枝を横に倒して置くと少ない雪の量でも貯蔵できます。また、ブルーシート等で枝を包むと、鼠による枝の食害を防止でき、雪から掘り上げる作業を効率的に進めることができます。