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「農業は体力である」「労働価値」「経営観」 「某くだもの店」 〔松藤博人さん〕

収穫したリンゴ
収穫したリンゴ

肥大し始めたリンゴの果実
肥大し始めたリンゴの果実

<農業は体力である>

 農家に春の休みはない。今は初夏だがいまだに休みがない。何か絶対あるのだ、やることが。「絶対に負けられない仕事がそこにはある」 (-_-;)、が毎日続く。まぁ、でも休みますけどね、実際、パタッと。でも休んだ気がしない。それ程忙しい。これでよいのかとつくづく考えることがある。だって映画は観にいきたいでしょ、バイクは洗車したいでしょ、家の中も外も片付けたいでしょ、車のオイル換えたいでしょ、犬の散歩たまには圃場じゃないところに行きたいでしょ。もう数え切れないほど農作業以外のしたいことが待っている。
 うぉーじゃーどうすれば休めるんだ?1日の労働時間をもっと増やすしかない、そうすれば休める、理屈では。これをやってみた。毎日実働13時間を2週間。でどうだったか?休みの日は疲れて寝てたね。もうぐっすりだった。農業はスローライフなんてありえない。チョーファストライフです、んだす。農業は頭でやるものではない、体力だ!


<労働単価>

 まぁ、それでも毎日実働13時間を2週間ぐらいは簡単にやってのける農家の先輩方はざらにいるんだろうけど、私はお聞きしたいね、「ご趣味は?」って。僕も一生懸命働くことはできるし、仕事の質だって悪いことはないと思っているから本当に是非お聞きしたい。春はやっぱり「働け!」なのですかと。でも絶対答えは「んだよ〜、かしぇげよ〜」なんだよな。わかってはいるんだけどね、働くことは嫌いじゃないし、集中力はあるほうだから。別にいいんですけどね休みなくたって。でもゆとりないっすよね。会社員で実働13時間の2週間は法に触れると思うけど、でも、もしやってみたとしたら、次の2週間は休みだよな計算上、まぁそれか給料約1.5倍。実際、完璧に計算した訳ではないのではっきりとはわからないけど、僕の農業に従事するようになってからの労働単価は前いた会社の約3分の1以下になってしまった。ゆとりなんてない。微塵もない。あるのは危機感ばかりだ。


<経営観>

 農家が、農作業だけしていれば生活が成り立つというのなら、その農家を見てみたい。僕が出会った農家の中で、どうやってお金を得るかを考えないで農業をしている人はいない。皆どうやったら効率の良い労働で、より多くお金が入るかを考えている。皆、経営者なのである。そしてこの経営こそが農業にとってネックであり全てでもある。経営=お金の稼ぎ方だけと考えてしまったら、農業という素晴らしい産業は何の意味もなくなる。僕は農業と経営は違うものだと思う。分かりやすく言えば、農業に技術があるようにと経営にも同じだけの技術が必要だと考えている。そして恐らく経営は農作業よりも難しい。今、完全なる黒字経営をしている農家はそれ程多くない。例えば、既存の農家で経営の勉強をしている人はどのくらいの比率でいるだろうか?現代農業を購読しつつ日経ビジネスを読んでいる人はいるか?黒字にするのは大変だ、でも「要するにお金が入ればいい」と考えてする経営は経営ではない。この辺がネックなのである。収支が赤字では当然ダメだ、でも黒字だからオーケーでもない。
 本当の経営は倫理観を問われる。長続きする経営は信頼の絆が最も必要なものであり、信頼は経営者の人間性にある。僕は1年間の農業実習生の時、ある農家の方に「将来どのような農家になりたいか?」と問われこう答えた。「まず良い人間になっていたい」。そう答えた時、その受け入れ先の農家の方はこう言った、「良い人間なることなんか関係ないよ、どれだけ稼いでいるかが問題だよ」と。僕はその時「利益を追求する経営は学べても、良い人間性というものをこの人からは学べないんだな、、、」と悲しく思ったことを思い出す。いまだに良い人間からは程遠く、怪しい人間から脱却できないではいるが、目標は変わっていない。良い人間になるために農業を選んだのだ。良い人間になるために白紙から始めようと決めたんだ。もっときちんとした黒字経営にして、なおかつ「あいつはいい奴だ」的な人間になってみせるぞ。えっ、うそ、キ・モ・イ?


<某くだもの店>

 もう一つ「将来どんな農家になっていたい」と聞かれた時に答えたことがあって、今になるとチョー恥ずかしいので書きたくなかったんですけど、正直に書きます。それは「某くだもの店を潰す」でした。一個千円のりんごをその店で買って食べたときに「お客も農家もバカにしてるなー」と強い嫌悪感を感じたからだ。自分で作って吟味して選んで、申し訳なさそうに一個千円という値札がついてたら分かるけど、「このりんごは300円以上じゃないよ〜」と本当に思った。まっ、それを買うお客様がいるんだからしょうがないとは思うけど。それにしたってあの色と味じゃね〜。僕の一番高いりんごは一個700円で売っております。うふぉ、たっけー。その「くだもの店」なら2000円だな。ハッハッハッ。



発信者/山形県立農業大学校研修部 山崎彩香

問合せ先/山形県新庄市大字角沢1366 TEL・FAX0233-22-8794

更新日/2006年 6月 27日

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