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新規就農奮闘記8 〔川井大輔さん〕

何で鶏なのか?~どうせやるなら負けたくない!

 みなさんこんにちは。
 いよいよ9月、稲刈りのシーズンとなりました。今年は途中の長雨と低温で思ったほど登熟が進まず、去年より日程がずれ込んできています。私は全て一人でやっているので、あっちに行ったりこっちに行ったりとなかなか大変です。これに子育ても加わりますから、そりゃあまあ大変です(笑)。先日ですね、朝起きてきた小学生の長女が突然「あ、今日弁当の日だった」とか言うわけですよ。ええ!!ってなって、冷蔵庫の中の物と自分の卵を使い15分で弁当作りました。
 15分で弁当が作れる父親って希少じゃないですか?(笑)

 さて先日、このメルマガ読者の方からお便り頂きました。ちゃんと読んでくれる方が居て、応援して頂いている事が素直に嬉しかったです。ありがとうございました。

「何で鶏なのか?」

 何で鶏なのか?と、今までに何度聞かれた事でしょうか。花から野菜や畜産まで同じ農業という括りですから、本当に幅広いと思います。その中で鶏に行きついたのには色々理由があります。まず、雪国山形で冬に稼ぐにはどうしたらいいか考えた時、ビニールハウス無しでも一人で出来て初期投資が比較的かからない事、そしてどうせ農業をやるなら負けたくない!という思いがありました。   

 稲作ですと、暖地へ行けば2期作なんてありますが、ここ山形では1年1作です。40歳手前で就農した新規就農者の私が1年1作で経験を積み上げて行って、例えば20歳で就農してもう20年も米作りしてる同年代の農家の跡取りに勝てるとは思えません。途中で失敗した!と思っても、1年1作ではもう修正が利かない事があります。そうなるとその経験は翌年に生かすわけですが、翌年また違う何か出来事が起きて・・・なんて事を繰り返してもう4年目です。物凄く上手に米作りが出来ているとは全く思いません・・・。

 研修期間中、実際にベテラン有機稲作農家で随分とお世話になりましたが、慣行栽培ならともかく、有機栽培で30年もやってる人に勝てる気がしませんでした(笑)。勝ち負けじゃないという意見もあるかもしれませんが、食べる日本の人口が限られている以上、作ったものが全て高値で売れるわけではありませんので、ある程度の生活水準を維持するためには勝つしかないのです。最初は新規就農者にありがちな「無農薬」にこだわった米作りをしたかったのですが、現実を見て色々考え、今はその想いを封印しています。ある程度の投資と折れない心、そしてもちろん経験に裏付けされた技術が必要だとよく分かりました。折れやすい心の持ち主だった私は、減農薬減化学肥料栽培という所へ落ち着きました。

 研修同期の中にも有機栽培にチャレンジしている人が何人か居ますが、私はそれを率直に凄いと思いますし、尊敬します。誰にでも出来る事じゃないですから。是非、そういう農家を買う事で応援して欲しいと思っています。

「相手は与し易いほうが良い」

 すみません、鶏の話に戻りますが、日本で流通している鶏卵の殆どはケージ飼いの卵です。日本の養鶏業者は2500、飼育鶏数は1億3千万羽と言われていますが、そこには私のような極小規模な養鶏業者は含まれていません。正確な数ではありませんが、流通している卵の98%くらいはケージ飼い、残りの2%くらいが平飼い養鶏の卵じゃないかと思います。

 平飼い養鶏業者は飼育数も流通量も少ないので、商圏範囲でバッティングすることもまずありません。そうなると平飼い卵の相手となるのは、2500ある養鶏場のケージ飼い卵になります。あちらは圧倒的多数ではありますが、その生み出される卵は全くの別物で、平飼い卵に優位性があるのは間違いありません。一度食べれば解りますが、人間の体は正直に出来ていると思います。

 30年のベテラン有機稲作農家には勝てる気がしませんでしたが、ケージ飼いの養鶏業者になら勝てると思っています(目指す所が違うので勝負というのもおかしな話ですが)。稲作農家は全国に数多く居ますし、有機稲作農家もかなりの数居るでしょう。それに比べ、ケージ飼い養鶏業者は2500しか居ないんですよ。と考えると、どこへ勝負をかけるか自然と答えが自分の中で出てきました。

 昔は養鶏業者がもっと数多く居て、1戸あたりの飼育数もずっと少なかったようです。しかし効率化の名のもとにどんどん大規模化され、現在では数万羽で小規模、大規模ともなると数百万羽というレベルです。このケージ飼いが良いか悪いかという議論は意味が無い(養鶏の効率化が無意味だとは思いません)のでしませんが、こだわりの平飼い卵がケージ飼い卵よりも市場で評価されているのは事実です。

 前出の有機稲作もそうですが、平飼いも効率化とは逆方向に進んでいるわけです。手間はやはりかかりますし、効率的ではありません。しかし、そこから生み出される産物は全てを物語り、人間の体は正直に出来ています。有機稲作も除草剤を使わず、化学肥料も使わず、乾燥機も使わず天日干しすれば、その米が美味くないはずがありません。そしてそこには「安ければ良い」というのとは真逆の、「高くても良い物を」という客層が必ず存在します。そしてその客層こそが、手間をかけた農家の心の支えでもあります。ありがとうございます。

(来月は中山間地の農業について)

 10月4日に、山形県飯豊町で「子実トウモロコシ(飼料用トウモロコシ)」の収穫実演会があるそうで、私も視察にいくつもりでいます。この子実トウモロコシが日本の水田農業を大きく変えるのではないかと、私は思っています。これが中山間地の農業とどう繋がるのか、また来月のメルマガもよろしくお願いします。

実が付いてきたソバ
実が付いてきたソバ

稲刈り前のヒメノモチ
稲刈り前のヒメノモチ

この小さなコンバインで頑張ってます
この小さなコンバインで頑張ってます


問合せ先/TEL:0233-22-8794 FAX:0233-23-7537

更新日/2017年 9月 29日

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