[質問]

 アメリカにある、お米の種類と、アメリカで一番売れているお米を教えて下さい。それと、アメリカでの米の品種改良はどうやっているのですか?

[答え]

  まず、アメリカの米作りの歴史をふりかえってみましょう。アメリカ合衆国の米作りの歴史も、日本で考えられているよりずっと古いものです。

 大西洋岸の中ほどに位置するノースカロライナ、サウスカロライナ両州は植民地時代、本国イギリスで必要とされた分の量をイギリスへ送るため、さまざまな作物を作っていて、米はその農産物の1つにすぎませんでした。1696年にマダガスカルから品種改良された品種が入って来てからというもの、豊かな米産業の発達が始まりました。

 アメリカで作られた米は初め、輸出品として発展しました。サウスカロライナ州のチャールストン港から輸出される米は1726年には、年間約4,500トンに達し、1730年までに米の輸出量は倍増したのです。

 1776年にアメリカが独立を宣言した時には、米作りは国家の主要産業の1つに成長していました。アメリカの米は仲買い人や船積み業者をとおして、世界中の消費者へと運ばれていたのです。

 しかし、カロライナ地域は南北戦争の嵐によって荒廃しました。また、土地によっては、稲よりも、その土地に適した他の作物に替わってしまい、米作りは西へ西へと移動していきました。

 20世紀の初めには、米は、今のおもな生産地域であるアーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、テキサスなどアメリカ南部の各州で作られるようになりました。この地域では、長粒種(インディカ種)・中粒種(米つぶの長さがやや短めのジャポニカ種)・短粒種(米つぶの長さが短いジャポニカ種「コシヒカリ」「あきたこまち」などもこれに入る)のいずれも生産することができます。中でもアメリカ南部の長粒種は世界中の米の品質の基準となっています。

 また、太平洋岸のカリフォルニアにおける米の歴史は、ノースカロライナ州やサウスカロライナ州とは全く逆でした。ノース、サウス(カロライナ)両州ではイギリスに送るために米作りが始まりましたが、カリフォルニアでは地元で増え続ける人口を養うために米が作られるようになったのです。

 1849年にカリフォルニアで金(きん)が発見されると、世界中の人々がここに集まってきました。その中には、米を主食とする東アジアの人々が1856年の時点で約4万人いたとみられています。そのころのアメリカの米の生産は南部の各州に集中していたため、カリフォルニアは、アジアからコメを輸入しなければならない状態だったのです。

 カリフォルニアでは移民たちの食糧が必要だったために、1860年代になると、米の生産を開始したのです。商品としての米を生産することを目的に最初に米作りがおこなわれて収穫されたのは1912年でした。それ以来、カリフォルニア州は高品質の中粒種の世界的な大産地となっています。

 また、短粒種も、中粒種よりは少ない量でありながら、生産されています。この地域での長粒種の生産は、南部の各州より気温が低いため、もともと少なくなっています。

 良質の米を大量に生産するためには、米作りに適した気候と土が必要です。この点、アメリカの南部や西部は最良の条件に恵まれています。カリフォルニア州の中で、土が肥えた地域のサクラメントバレーやサンホアキンバレーでは、あらゆる種類の米が生産されていますが、中粒ジャポニカ種がその中心になっているのです。長粒種と中粒ジャポニカ種を中心に作っているのは、メキシコ湾岸とミシシッピ川下流地域つまり、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、テキサスの各州です。また、カリフォルニア州と南部の各州では、香り米やモチ米なども生産することができます。

(単位:ヘクタール)
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         :      アメリカ全土・州別・種類別面積(2000−2001)
種類別      :----------------------------------------------------
州 別      :     2000年     :     2001年
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【長粒種】    :
アーカンソー州  :    457,311          562,533
カリフォルニア州 :     3,642           2,832
ルイジアナ州   :    184,138          224,608
ミシシッピ州   :     88,224           96,318
ミズーリ州    :     67,989           82,558
テキサス州    :     84,582           84,987
         :
アメリカ全土合計 :    885,886         1,053,836
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【中粒種】    :
アーカンソー州  :    112,506           51,801
カリフォルニア州 :    204,373          178,472
ルイジアナ州   :     10,117           8,094
ミズーリ州    :      404            404
テキサス州    :     2,023           1,618
         :
アメリカ全土合計 :    329,423          240,389
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【短粒種】    :
アーカンソー州  :      809            809
カリフォルニア州 :     13,759           9,308
         :
アメリカ全土合計 :     14,568           10,117
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【長・中・短粒種 :
を合わせた合計】 :
アーカンソー州  :    570,626          615,143
カリフォルニア州 :    221,774          190,612
ルイジアナ州   :    194,255          232,702
ミシシッピ州   :     88,224           96,318
ミズーリ州    :     68,393           82,962
テキサス州    :     86,605           86,605
         :
アメリカ全土合計 :   1,229,977         1,304,342
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この表をみて、一番多く作られているものがよく売れている米です。

 また、カリフォルニア州で2000年に作られている品種の一覧表を見てください。

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   品種名         面積
              (ヘクタール)
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短粒種
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   S-102          4,235
   あきたこまち       4,118
   コシヒカリ       2,511
   Calhikari-201     1,547
   Calmochi-101      4,483
   Surpass          588
   (短粒種計)      17,481
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中粒種
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   M-103          4,743
   M-201          2,799
   M-202         143,215
   M-204         30,887
   M-401         13,623
   M-402          3,721
   国宝ローズ       5,070
   NFD 181         1,870
   (中粒種計)     205,927
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長粒種
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   L-204           847
   L-205          1,071
   A-201           415
   A-301           586
   Calmati-201        486
   (長粒種計)      3,406
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その他
   (その他計)      1,841
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以上合計
   州合計        228,656
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 1900年には14万6,000ヘクタールしかなかったアメリカで米作りがおこなわれている面積は、1980年には134万7,633ヘクタールになっています。とれ高の全国平均は、18世紀初頭に約675kg/ヘクタールだったものが、1800年には1,350kg/ヘクタールから1,700kg/ヘクタールぐらいになり、今では6,300kg/ヘクタールとなっています。

 もちろん、アメリカの米作り農家がこのように多くの米を生産できるようになったのには、理想的な自然条件だけではありません。世界に誇る高い品質のまま、米の生産量を増やしてこれた原因は、米の生産を向上させる技術を研究して開発してきた結果なのです。

 さらに、これだけ米の生産量が増えたのは、もちろん米の品種改良も進んだからです。アメリカでは、カリフォルニア、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、テキサス、などのおもな米生産州では、アメリカ農務省と協同で、それぞれ米の研究センターをもっており、またさらに、地域における付属の研究センターを持っている州もあります。

 こうした研究センターのおもな役割は、消費者や加工業者が求める高い品質をもっていて、収量の多い品種を開発するための品種改良です。

 また、アメリカの農家の生産する米の品質を高め、生産量を増やすため、より良い米作りの研究も行っており、水のやり方、土の管理のしかた、病気や害虫の予防法、米の乾かし方、米の貯臓法などがそれぞれの専門家によって研究されています。

 アメリカの米作り農家は、最良品質のタネを使うようにしています。つまり、品質の良い米を生産するには、「保証付き」あるいは「登録済み」のたねモミを使うのが最も確実です。そして、その資格をもつ育成業者だけが、「保証付」のたねモミを生産できるのです。

 また、新しく開発された品種は、テキサス州ボーモントにある研究センターの農務省品質試験所で、次の項目についてくわしい試験を受けることになります。

■品種改良により創られた新しい品種について、精米したり、調理したり、加工したりするときの特徴を調べ、良いか悪いかをみる。
■米の品質をもっと正確に区別できるような新しいやり方の開発と今のやり方の改良。
■米の品質が何に影響されるのか、その原因について研究する。

 そして、この他にも、アメリカ農務省には、米の研究をする2つの研究所があり、世界中で応用できる米の新しい利用法や加工法の研究が進められています。

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