[質問]

 水田(田んぼ)にはどんな働きがあるのですか?

[答え]

<水田の働き1>
 作物が育ちやすい土を作ります。

 日本の土はだいたい酸性で、養分が少なく、作物の生育に適しているとはいえません。 田んぼに水を入れてしばらくすると、土の中の酸素が微生物によって使いつくされ、土の中は酸欠状態になります。

 このとき水田の土の中では畑にはない、さまざまな変化が起こります。
@酸性の土でも、だんだんとアルカリ性の方へ変わり、作物が育ちやすい状態の中性に近くなります。
A酸素がなくなると、作物に病気を起こす、酸素が必要なバイ菌などの有害生物が死んでしまうので、元気な作物が育ちます。また、土の中の酸素がなくなると、稲ワラなどの有機物の分解がゆっくりと進み、肥料として与えた有機物を長い期間利用することができます。(昔は落ち葉や木のえだなどの有機物を集めてきて田んぼに入れ、分解させて肥料として使っていました。)



<水田の働き2>
 水田は水をきれいにします。

 かんがい水から水田に流れてきた水は、水田に貯えられますが、一部は水田の地下へしみ出していきます。 この間に水の中の枯れ葉や虫の死がいなどのゴミは水田の土の表面で、また、飲み水に不向きな成分は土の中で取り除かれて、水はきれいになります。

 有害なチッソ分は、分解されて空気中に出ていきます。 せっかく与えた肥料が減ってしまうことになりますが、余分なチッソは、こうして分解される方が環境にやさしいのです。

 つまり、水田はゴミやチッソを取り除いて、私たちの飲み水となるきれいな地下水を作る働きがあるのです。



<水田の働き3>
 水田は、上流の森林の豊かな資源を有効に活用します。

 畑の作物は土から養分を吸収しますが、水田の稲は、水と土の両方から養分を吸収しています。

 水田には「かんがい水」を入れますが、かんがい水は、日本の3分の2を占める山林からとけ出す養分を運んできてくれます。水田は、上流の森林から流れてくる豊かな栄養をしっかり受け止めて、有効に利用しています。

 つまり、水田は森林から水と肥料の両方をもらっているということができます。



<水田の働き4>
 水田は、周りの気温や湿度を守ります。

 稲が育っている間は、田んぼに水が入っています。米作りの期間は、水面と稲の葉からたくさんの水分が空気中に蒸発していきます。水が水蒸気になるときには、たくさんの熱を奪い取っていきます。これにより、気温を上げずに熱を空気中に送る効果があります。同時に、湿度を上げる効果もあります。



<水田の働き5>
 水田は地下水の量を一定に保ちます。

 地下水は、水をしみこませたスポンジのような状態になっています。地盤沈下は、このスポンジの水がくみ上げられてなくなり、スポンジがつぶれてしまう現象です。地下水は、私たちが生活するためにとても大切なのです。

 水田は、この地下水の量を安定させ、一定に保つ働きをしています。水田に貯えられた水は、ゆっくりと地下へしみこんでいき、地下水になります。しみこむスピードは、だいたいは1日に約2センチメートルずつですが、地下水や川の水の量とのバランスで決まり、地下水が多いときは、あまりしみこまず、少ないと早くしみこんで、地下水の量を一定に保っています。



<水田の働き6>
 水田は洪水や土砂崩れを防いでいます。

 日本の地形は、山の斜面が急で川の流れが速いため、洪水や土砂崩れが起こりやすくなっています。 水を貯めて、ゆっくりと外に出すことのできる水田は、ダムのように、洪水を防ぎます。また、斜面にある水田は、土砂崩れを起こしにくくしています。

 日本全国にある水田が貯めることのできる水の量は、日本にある全部のダムの約2倍の50億トンくらいだろうといわれています。とてもたくさんの水を貯めておくことができます。

 土地の表面にある土は流れていきやすいのですが、1枚の水田は水平ですから、雨がたくさん降っても、水田から雨水といっしょに土が流れ出すことがありません。そのため、作物を育てるのに大切な、土地の表面の土を守ることができます。強い風で表面の土が吹き飛ばされることもありません。



<水田の働き7>
 水田には、いろいろな生物が住む「家」の働きがあります。

 トンボ、カエル、メダカ、イモリ、ザリガニ、ドジョウ、ゲンゴロウ、ミズカマキリ・・・などなど、水田にはさまざまな生き物が住んでいます。

 カエルが稲の害虫を食べたり、そのカエルをねらってタカやフクロウがやってきたり、小さな虫を食べているトンボなどの昆虫は鳥のえさになったりします。フナやナマズなどは、田んぼに水を引く用水路などで産卵し、産卵を終えるとまた下流の大きな川にもどるので、用水路は生まれたばかりの魚が安全に大きくなる場所でもあります。

 もし、水田が、何も作物を作らない荒地になってしまったら、こうした働きがゼロになるだけでなく、水田だった土地の底がこわれてしまい、修理して元にもどすのに大変な手間とお金がかかります。

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