[質問]

 田で使う水について、どんな「工夫」をしていますか。教えてください。
[答え]

 まず、田んぼから水がもれないか、アナがあいてないかを、田んぼのまわりを回って調べます。

 次に、水の温度を上げる工夫をします。イネが、田植えをしてから元気に育つようにするためです。水を田んぼにためておけば、日光であたためられて水の温度が上がります。一度あたためられた水は冷めにくいので、イネが守られます。

 田植えのあと、イネの根がのびはじめるまでは、水を多く入れます。そのあとになって、天気が良ければ、水を減らします。風の強い日や寒い日は、また、水を多く入れてイネを守るようにします。

 イネが生長して「くき」が増えてきます。「くき」が一番多くなったら、一度水を全部なくします。そして、1週間ほどそのままにしておきます。これは、田んぼの中にたまったガスをぬき、酸素を入れてやるためです。根っこが元気になります。

 そのあとは、2日間水を入れて2日間水をなくすようにします。これをくり返します。根っこの元気が続いて、「いなほ」につく「もみ」がよく実るようにするためです。
[新潟県の農業試験場のT先生の答え]

 水についての工夫をしらべているようですね。私からも少しお話しします。

 田んぼに使う水は、その場所によって川・湖・池・わき水など、たっぷりと夏の終わりまである水を使います。

 地図帳を見てみて下さい。緑色にぬられている低くて平らな「平野(へいや)」といわれる所では、たいてい大きな川がありますね。そうするとこの川から水をパイプでひいてくるのがよさそうですね。山形県の平野は最上川(もがみがわ)、新潟県の新潟平野では信濃川(しなのがわ)があります。

 ちなみに、日本一長い「しなの川」は、おそろしい洪水(こうずい)の川で、むかしの農家の人は、イネなどの作物を守る前に、自分の命をどう守るか、必死に川と戦ったようです。

 話をもどします。川の近くであっても、水は必ず高い所から低い所へしか流れませんから、電気ポンプを使って水を遠くまで送る工夫をしています。

 平らなのに大きな川がない所では、もっと工夫が必要です。湖や池から引いてくるとか、水を貯めておく池を作るとか、井戸(いど)をほるとか、さまざまに工夫します。新潟県では西の方が「ため池」地帯になっていて、少ない水でお米を作るために、お米が実るのが早い「早生(わせ)品種」を植えて、早めにお米作りが終わるように工夫しています。

 山の方では、大きな川がないとか、がけからのわき水しかないという所もあります。このような所では、いつでも冷たい水が少しづつしか使えませんから「ため池」を作ったり、寒さや冷たさに「がまん強い」品種を作ったりします。

 どこの県でも地図帳で黄色っぽくぬられている所には、このような場所があります。

 そして、日本はどこでも、たくさんの人があちこちにバラバラで田んぼを持っているのがふつうですから、自分の田んぼだけに水を引いてくるわけにはいきません。自分の好きなように勝手に水を引いてくれば、きっとケンカになるでしょう。

 また、川の水は、農業のためだけにあるのではありません。工場や飲み水、電気(でんき)を作るためにも使いますね。そこともケンカをするようなことになってはいけません。

 そこで、春から秋まで、「みんなでなかよく水を使おう!」というように、農家と農家の間でやくそくしたり、それからまた、農家の人たちとそのほかの仕事をする人たち(水道の仕事、工場の仕事、電気の仕事など)との間でも、しっかりとやくそくする、という工夫もしています。

 水道からいくらでも出てくるみたいに見える水ですが、じつはこんな工夫があるから水道に使ったり田んぼに使ったりできるのです。

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